恩師の存在は、仕事のモチベーションや取り組み方が大きく変わるきっかけとなります。
僕自身も尊敬できる人に出会ったことが、社会人としてのターニングポイントでした。
社会人になると、さまざまな人とかかわる機会が増えます。
- 同期入社した同僚
- 性格のきつい上司
- 見積交渉でしのぎを削った得意先の担当者
学生時代とは異なり、一回りも二回りも年の離れた上司と接する機会も増えます。
僕自身は入社3年目くらいまで、自社の上司や先輩を尊敬していませんでした。
仕事のやり方や考え方に不満を感じて「気に入らねぇし学ぶこともねぇな」なんて思ってました。
いま思うと本当に生意気です(笑)
おそらく生意気なままの自分でいたら、すぐに会社を辞めていたかもしれません。
今回のテーマは「尊敬できる人を見つけることの大切さ」です。
恩師がいたから仕事を続けられた僕自身の実体験を紹介します。
とある案件のパートナーだった関西弁のへんなおじさん
僕は入社3年目まで「愛知県にある某大手自動車メーカー」で、ネットワークエンジニアとして客先常駐していました。
常駐先には前任の担当者がいて、業務を引き継ぐため一緒に作業していました。
その前任者が、僕にとっての恩師です。
- やたらと目立つ関西人
- 第一印象はへんなおじさん
- 女性をひいきしがち
周りの人に印象を聞くと、10人中9人が「へんなおじさん」と答えます。
でも、憎めないキャラクターで人気がありました。
しかし、扱いづらい性格だったためか、管理者からは煙たがられていました。
当時、1万人規模の企業の「ネットワーク管理者を引き継いでほしい」と、まだ入社3年目の僕に依頼してきたほどです。
どんだけ辞めさせたいんだよ。
上司相手でも意見をハッキリと言うタイプ
僕の恩師は、納得できないことにはハッキリと苦言を呈する性格でした。
その相手が上司や役員でも関係ありません。
そのせいで、上司とケンカする姿を頻繁に見かけました。
「役員の要望に応えたい上司」 vs 「こんな要件でできるか!な恩師」
管理者と作業者の「よくあるすれ違い」なのかもしれません。
責任をもって取り組むためにも、意見のすり合わせは必要です。
もちろん、ケンカはしないほうが良いのですが…
良くも悪くも口が上手いタイプ
関西人の恩師は、良くも悪くも口が達者でした。
一般的には良くないことでも、あれやこれやと言いくるめて、なぜか相手を納得させてしまいます。
横から「冷静に考えて。この人へんなこと言ってるから」と口を出すと
「余計なこと言わんでええ!」とツッコまれます(笑)
恩師のデスクは、ものが散乱していました。
「オレはどこに何があるか把握してんねん」
「整頓はできてないけど、整理してあんねんで」
と、いつも言い訳?します。
でも、不思議と「あぁ、整理はしてあるんだ」と受け入れてしまいます。
数分後に「いや、散らかってるやん」って気づく。
恩師は無駄なことばかり教えてくれた
ネットワークエンジニアの先輩だった恩師は、さまざまなことを教えてくれました。
しかし、ネットワークエンジニアの業務スキルは「マニュアルがあるからよく読んどけ」と言われた程度です。
正直なことを言うと、わりと「どうでもいいこと」ばかり教わった気がします。
でも、そのどうでもいいことが、今の自分にとって必要なことでした。
はじめは「肝心な業務を教えてくれよ」と感じたけど、
結局業務を教わっても「やってみないと理解できない」が結論でした。
教わったこと①|くだらない会話も大切
「あの部署はオッサンばかりだから、何かあったらお前が行け」
恩師(おじさん)から最初に教わったことは、各部署のメンバー構成でした。
というよりも「オッサンの対応は気がのらん」と、似たようなおじさんから面倒な対応を押し付けられました。
人事部はきれいな人がいるからオレがやる。
経理部には~情シスには~
本当に下世話な話ですが、くだらないやりとりを真剣に押し付け合っていました。
とはいえ「どの部署に誰がいるか」を把握することは、事前準備をするうえで意外に重要なことです。
「目的に対して考えること」にプラスαで「個人に対して考えること」が加わると、準備と対応の仕方が変わります。
「あの人はこうだから~」と考えることは少し手間ですが、
楽しさを感じることもあります。
職場の後輩が現場に来たとき、同じようなこと教えてみました。
すると後輩との会話が弾み、コミュニケーションがとりやすくなりました。
くだらない会話ほどコミュニケーションの潤滑油となることもある。
教わったこと②|上司の指示をバカ正直に受け入れるな
「上司の指示に不満があるならバカ正直に受け入れるな」
上司の指示をすんなりと受け入れられないことは、社会人なら誰しもが経験するはずです。
しかし、納得できなかろうが、引き受けたからには対応せざるを得ません。
上司も人間です。
無理を承知で依頼することもあれば、単純に間違えることもあります。
納得いかない(腑に落ちない)ときは、その理由を把握して上司に伝えましょう。
文句を言うとケンカになるので、質問や提案をすることが大切。
教わったこと③|交渉は49対51のWin-Win
「交渉はWin-Winの関係を築くこと。ただし、相手のメリットを優先する。」
見積や納期などの交渉は、相手にメリットがないと成立しません。
さらには、50対50の対等な関係でも、相手がメリットを感じてくれないこともあります。
交渉は「49対51(自分が49)」となるようにWin-Winの関係を築くことが大切です。
教わったこと④|言葉一つで印象が変わる
「しゃべりが面白いかどうかは言葉選びがポイント」
僕は禁煙者です。
「ふだんはタバコ吸う人?」と聞かれたとき、何も考えなければ「吸わないです」と答えます。
しかし、言葉を少し変えるだけで、相手の受ける印象が変わります。
「口に咥えたことすらないです」
「タバコとは無縁の人生でした」
また、軽めのジャブくらいの感覚で皮肉を言うと、相手が話に乗っかってくれます。
中日ファンの僕が「阪神強いですよね~」と言うのは普通のコミュニケーション。
「中日戦だけ本気出してませんか?」と言うと、ちょっと笑ってくれる。
言いたいことは同じですが、言葉をひねることでユーモアが生まれます。
恩師を目指したことで自分自身を変えられた
僕自身は入社3年目と若かったこともあり「恩師のマネをしよう」と考えました。
目標となる人物像が見えると、自分自身が成長しているような変化を感じられました。
上司や先輩と積極的にしゃべるようになった
僕自身が感じた一番の変化は「コミュ力」です。
入社3年目くらいまでは、上司や先輩に気をつかっていました。
業務でかかわりのある社員を含めて、ほとんど仕事以外の話(雑談)をしていませんでした。
なぜか「なれなれしく声をかけると失礼かな?」って思いこんでいました。
関西人の恩師と出会った影響で、冗談を言ったりつっこんだりと、ラフな会話が癖になっていました。
とある飲み会の場で社内の先輩に対して、うっかりとラフな絡み方をしたことがあります。
一瞬「ヤバい!」って思いましたが、意外に話が弾んで盛り上がりました。
失礼なことを言わないようにと気をつかっていましたが、
「気楽に話してもいいんだ」と肩の荷が下りた気分でした。
後輩とくだらない話をするようになった
後輩とくだらない話をするようになりました。
もちろん、仕事のまじめな話もします。
後輩の性格や考え方を気にしながら、接し方を考えることが増えました。
人によってキャラクターが違うことを意識するようになった。
先輩と後輩がなれなれしく接することが正解だとは思いません。
しかし、後輩に気をつかわせすぎてはいけないとも感じています。
頭を使って行動するようになった
既存のやり方や固定概念に捉われないことを意識するようになりました。
誰かの指示どおりに動いて不都合が生じても、責任を取るのは自分自身だからです。
無責任なことをしないためにも、自分の納得できる手段かどうかを必ず判断しています。
業務を改善できるのは担当者だけ。
(管理者は基本的に報告するだけ)
交渉術が身についた
システムエンジニアとして、見積単価を交渉する機会が多々ありました。
交渉時の大きな変化は、まず相手のメリットを考える癖がついたことです。
- あなたにとってメリットがありますよ!
- 魅力的ですよね!
- わたしに任せてください!
- そこで、ちょっとご相談なのですが…
自分の希望を要求するためには、相手のメリットが交渉材料として必要不可欠です。
先にメリットを提示すると、相手の立場としても断りづらくなります。
反対に相手から交渉を受けた場合には、自分自身がメリットを感じるかどうかの判断基準を意識できます。
尊敬できる恩師を見つけて、目指そう
記事の結論をあらためて伝えます。
- 尊敬できる恩師を見つけよう
- 恩師を目指すことが自分自身を変えるきっかけとなる
今回は僕自身の体験談をもとに紹介してみました。
正直なことを言うと、入社3年目の頃はとがっていたので、職場の先輩や上司を信用していませんでした。
踏み台にしてやろうとおもっていたほどです。
(若気の至りってやつ)
当時のとがった性格で誰も信用していなければ、すぐに会社を辞めていたような気がします。
しかし、恩師と思えるような「尊敬できる人」を見つけたことが、自分自身の働き方を変える「ターニングポイント」でした。
身近な人でも著名人でもいいので、あなたにとって恩師のように尊敬できる人を探してみてください。
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